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2020/11/01 ブログ

廃棄物に関連する保険

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先日、とある方に保険の相談を受けました。産業廃棄物に関する保険なのですが、廃棄物の処理を委託した際、その廃棄物が原因で委託先に損害を与えた場合の損害賠償請求に備えたいというものです。もちろん、排出する側としては問題ないように十分配慮したうえで実際の廃棄物を委託するつもりではあるのですが、委託先の処理内容によっては、廃棄物のほんの少しの性質の変化で処理が止まることがあるのだそうです。

 

どちらに原因があるのか、危険負担の問題になると思います。そこでどのような契約を交わしているのか、が問題になりますが、産廃の処分を委託する際に交わす契約書、よく使用されるのは全産連等でダウンロードできるものを皆様ご利用ではないかと思います。危険負担に関する条文は、次のような記述になっています。

 

第3条(適正処理に必要な情報の提供)


1. 甲は、産業廃棄物の適正な処理のために必要な以下の情報を、あらかじめ書面をもって乙に提供しなければならない。以下の情報を具体化した「廃棄物データシート」(環境省の「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」(第2版)を参照)の項目を参考に書面の作成を行うものとする。


(ア) 産業廃棄物の発生工程
(イ) 産業廃棄物の性状及び荷姿
(ウ) 腐敗、揮発等性状の変化に関する事項
(エ) 混合等により生ずる支障
(オ) 日本工業規格C0950号に規定する含有マークが付された廃製品の場合には、含有マーク表示に関する事項
(カ) 石綿含有産業廃棄物又特定産業廃棄物が含まれる場合は、その事項
(キ) その他取扱いの注意事項


2. 甲は、委託契約期間中、適正な処理及び事故防止並びに処理費用等の観点から、委託する産業廃棄物の性状等の変更があった場合は、乙に対し速やかに書面をもってその変更の内容及び程度の情報を通知する。なお、乙の業務及び処理方法に支障を生ずるおそれがある場合の、性状等の変動幅は、製造工程又は産業廃棄物の発生工程の変更による性状の変更や腐敗等の変化、混入物の発生等の場合であり、甲は乙と通知する変動幅の範囲について、あらかじめ協議のうえ定めることとする。

 

第4条(甲乙の責任範囲)


1.乙は、甲から委託された産業廃棄物を、処分の完了まで、法令に基づき適正に処理しなければならない。
2.乙が、前項の業務の過程において法令に違反した業務を行い又は過失によって甲又は第三者に損害を及ぼしたときは、乙においてその損害を賠償し甲に負担させない。
3.乙が第1項の業務の過程において、第三者に損害を及ぼした場合に、甲の指図又は甲の委託の仕方(甲の委託した産業廃棄物の種類もしくは性状等による原因を含む)に原因があるときは、甲において賠償し、乙に負担させない。
4.第1項の業務の過程において乙に損害が発生した場合に、甲の指図又は甲の委託の仕方(甲の委託した産業廃棄物の種類もしくは性状等による原因を含む)に原因があるときは、甲が乙にその損害を賠償する。

 

廃プラスチックやがれきのようなものは、性状が安定しているので大きなトラブルになることはありません。ただ、廃油や廃酸など液体廃棄物の場合、思いもよらぬ反応を引き起こすことがあります。これは、排出事業者の意識と処理業者の意識、油や酸に対し持っている常識が互いにずれているからなのです。


排出事業者からすれば、まさかそんなものと混ぜたりしないだろうというものが、廃棄物処理業者においては様々なものが集まっているために混合されてしまうことが十分にあり得ます。そのため、毒ガスが発生して死傷者が出るかもしれません。あるいは、廃油のリサイクル施設で爆発事故が発生するかもしれません。労災等のデータベースでもいくつか廃油処理工場等での爆発事故が見受けられます。このような事故の責任はどのように問われるのでしょう。


先ほどの契約書に戻りますと、第3条の1で排出事業者は「あらかじめ書面をもって」情報を処分受託者に伝えなくてはならないとあります。MSDSやWDSがその書面にあたるわけですが、もし書面で情報提供をしていなかった場合、契約違反に問われる可能性があるということです。さらには第3条の2で「産業廃棄物の性状等の変更があった場合」にも速やかに「書面で」情報を伝えなくてはなりません。さらには第4条の3,4において「甲の指図又は甲の委託の仕方(甲の委託した産業廃棄物の種類もしくは性状等による原因を含む)に原因があるときは、甲において賠償し、乙に負担させない。」とあります。

 

廃棄物処理法の構成上、排出者責任というものは逃れることが出来ません。ただ、出来る限りリスクは回避したいと皆様思われると思います。そこで冒頭の保険の話に戻るのですが、調べた限りでは排出者責任をカバーしてくれる保険は、あまりありません。
不法投棄や環境汚染による第三者からの損害賠償請求に備える保険はあるのですが、委託先に損害を与えた場合(処分を委託した場合)の保険というのは見当たりません。

 

中間処分業者は処分後の残渣については排出事業者の立場にもなってしまいます。例えば、食品をリサイクルして餌として販売した、その餌の品質が悪く豚が死んでしまったという場合、これは製造物責任法に関する保険でカバーできるのですが、廃棄物の委託というのは、物である廃棄物とお金の流れが同一で、製造物の販売とは異なるのです。ですので、製造物責任法に関する保険ではカバーが出来ません。とある保険会社に聞いた限りでは、そのような廃棄物を委託する流れにおいて、委託先からの損害賠償に備えるというのはなかなか難しいということでした。


結局のところ、出来る限り正確な情報を書面で委託先に伝える、瑕疵なくそれを実施するしかないようです。また、委託する際の処分場視察において、委託先の実際の作業をしっかり聞いておくというのも大切なのだろうと思います。

情報をお持ちのお方がいらっしゃれば、ぜひお教えいただきたいと存じます。

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