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2021/01/05 ブログ

廃棄物処理業における労働災害

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産業廃棄物処理業では、残念なことですが労働災害が多くみられます。令和2年は11月の時点で、愛知県の産業廃棄物処理業において3人の方が亡くなられたそうです。過去にも悲惨な事故が相次いでいます。

 

ネットの「職場の安全サイト」「失敗知識データベース」というサイトで労働災害の事例を検索することが出来ます。キーワードに「廃棄物」といれて検索してみてください。


いくつか検索結果の見出しをここで紹介したいと思います。


・産業廃棄物の選別作業中、ショベルローダーに激突され死亡
・ゴミ焼却場でゴミを投入中、焼却炉に落ちる
・感染性廃棄物の処理施設で自動搬送装置の搬器にはさまれ死亡
・金属廃棄物の集荷場所で分別作業中、廃棄物を入れた袋の山が崩壊


2番目の焼却炉に落ちたという事例では、「アーというような声を残して被災者が投入口のスロープを滑るように焼却炉の中に転落」と書かれています。安全対策は大事であるという言葉だけではなく、具体的な事例を見ることによって安全意識が高まるのだと思います。ぜひ、一度ご覧いただきたいと思います。

 

事例を見ていくと墜落・挟まれ・重機類の衝突など色々ありますが、意外に多いのが爆発や中毒です。
特別管理産業廃棄物として入ってくるだけでなく、有機溶剤を入れていた容器を廃プラスチック類や金属くずとして処理を受けるケースがあると思います。見た目内容物がない場合であっても、気化したガスの濃度が高い場合にはちょっとした火花で爆発事故が発生します。たとえば、溶媒抽出後の汚泥がタンクに残ったりしていると、汚泥からは溶剤(ベンジンやエタノールなど)が揮発しています。このタンクをサンダーでばらしていて爆発したという事例もあります。この時は火災はもちろんですが、サンダーを使っていた作業員は首から上にやけどを負いました。

 

有機溶剤を使っていなくても爆発することがあります。食品や汚泥などが嫌気発酵によりメタンガスを発生させることがあるからです。有機溶剤と違い、メタンガスには臭いがありません。家庭で使用されているプロパンガスや都市ガスには臭いがありますが、あれは本来無臭であるものに、あえて臭いを付けています。付臭といいますが、ガス漏れがわかるようにガス事業法により定められているのです。

 

現場で嫌気発酵している場合には、腐った臭いはしてもメタンガスの有無はわかりません。ガスは一定の濃度まで濃くなると、ちょっとした火花やたばこの火で爆発します。十分注意が必要です。ちなみにガソリンはちょっと撒いただけで気化したガソリンが充満して爆発しますので、着火剤のような使い方は絶対にしてはいけません。

 

事故を防ぐためにはどのようにするのか。まずは正確な情報が必要です。タンクを分解する場合、残液や壁面に残った溶剤などに注意することが必要です。不燃性ガス等でパージしたりする方法や、小さなタンクであれば水を張って内部の空気を追い出すなどの方法があります。いずれにしても、汚れや残液から再度可燃性ガスが発生することがあるので、内部の洗浄を十分にしたうえでパージすることが必要でしょう。

 

また、メタンやプロパンなどの無臭のガスの発生を確かめるには、ガス検知器が必要です。ガス検知器は安いものではありませんが、メタン・硫化水素・酸素などを計測できる検知器が販売されています。設備としてタンクを持っている方、或いは廃棄物処理のなかでタンクの分解などを行っている方は、是非ともご購入下さい。また、購入した後も正確な測定を行うために年1回メンテナンスに出して下さいね。

 

中毒の代表例は、やはり硫化水素でしょうか。よく言われるのが、温泉のにおい、腐った卵のにおいですね。確かに硫化水素は臭うのですが、実は臭わない(というか臭う間もない)場合があるのです。0.2ppm以下ではにおいを感じることが出来るのですが、20ppm程度になると臭いを感じなくなってしまいます(700ppm以上になると瞬間的に嗅覚がマヒします)。2000ppmになると、即意識を失い、死亡します。ですので、タンクの中を臭って確かめたり、いきなりタンク内に入るなどした際に運悪く2000ppm程度の濃度があると、バタンと倒れて死んでしまいます。タンクの確認は臭って確認ではなく、ガス検知器を使うことが非常に大事です。また、メタンガスは空気より重い性質がありますので、タンクの外に何の臭いも出てきてないという場合であっても、タンクの底部には高濃度の硫化水素が充満しているケースがあります。したがってタンクの底のほうをしっかり計測してください。さらには硫化水素は可燃性ガスですので、先ほどの有機溶剤やメタン同様、爆発事故の危険性もありますので、十分に注意してください。

 

あと、賛否あるかと思いますが、タンクの底で倒れている作業員をみても、素人は絶対に助けに行ってはいけません。二次災害の恐れがあります。ですので、検知器でしっかり確認し、かつ送風機等で空気の入れ替えを常に行うなど事前の対策をしっかりと行ってください。
 
爆発や中毒に限らず、やはり労働災害は防がなくてはなりません。そのために、作業手順を定めるなどの対策は重要ですが、従業員の安全意識を高めることも非常に重要です。

 

従業員の方に産業資源循環協会(産業廃棄物協会)などが主催する講習会などに積極的に参加してもらい、一人一人が安全の重要性を理解して、廃棄物の特性を理解して業務にあたることが大切なのではないでしょうか。

 

資格取得もきちんと行いましょう。酸素欠乏・硫化水素危険作業者などは作業上必要となりますし、講習の中で色々と勉強することが出来ます。担当者だけなく、社員全員に取得してもらっても良いと思います。

 

産業資源循環協会(産業廃棄物協会)では、他にも職長教育であったり、リスクアセスメント講習など様々な安全に役立つものを実施されています。また、中央労働災害防止協会でも書籍販売やセミナーが行われています。ぜひご活用いただきたいと思います。

 

従業員が高齢化している会社様も多いと思います。そのような方々に長く安全に働いていただくために、社員の廃棄物に対する理解を改めて深め、安全に関する知識を高めていただきたいと思います。従業員の教育も大切なのですが、会社として安全にしっかりと費用をかける、安全第一であることも重要であろうと思います。経験を積んだ従業員が長く働ける環境を整えることが、長い目で見るとコストを下げること、利益を上げることにつながります。
どうかご安全に。

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